風魔/戦国SAGA風魔風神伝 風魔小太郎

卍 風神の子にして戦国最強の忍び 風魔小太郎 卍

宮本昌孝 先生が描く時代小説『風魔』、そして『風魔』を原作とした『戦国SAGA風魔風神伝』。
数少ない風魔小太郎を主人公として描かれた作品であり、風魔小太郎ファンにはたまらぬ作品であり、風魔が最強であると知らしめる貴重な1作でござる。

作中における風魔小太郎は、とても清々しく真っすぐな気持ちの良い快男児として描かれているのでござる。

良く人を観て、獣じみた直感により物事の本質を見抜き、広い心と優しさを持つ忍びである小太郎。
山に生きる獣と同じく、己の五体のみを武器としており、優れた体躯と疾風の如き身のこなしから繰り出される一撃は、暴風の如く破壊力を持ちまさに『風神の子』の名に相応しい。
しかし小太郎の信念は専守防衛であり、その力は知人や友人、愛する者と風魔一族に降りかかる災厄を払うときのみに発揮される。

出会う人々の心に吹く晴天の如く晴れやかで心地よい風。
牙を剥き触れるもの全てを吹き飛ばし破壊する荒れ狂う風。
まさに自然の風を体現したかのような存在である風魔小太郎の活躍に目が離せぬでござる。

ライバルとして登場する忍び衆もそうそうたる顔ぶれでござる。
・乱波大将軍 湛光風車
・伊賀忍者頭領 服部半蔵
・甲賀忍者 多羅尾四郎兵衛
・元武田水軍 神崎甚内
・柳生流 柳生宗矩
・元真田忍者 唐沢玄蕃
これら襲い掛かってくる強大なライバル達との手に汗握る戦いは必見。

また、作中に『うらかん』という風魔忍者の戦闘装束が登場するでござる。
これは一つ目一つ足である風神(うらかん)を模した装束であり、黒装束に顔の左半分を白く塗り、左足に白足袋を身につけた姿である。

漫画版である戦国SAGA風魔風神伝では戦闘装束の名を『一目連』とし、『うらかん』は小太郎の使う必殺技として扱っているでござる。

卍 風魔/戦国SAGA風魔風神伝 卍

宮本昌孝 先生が風魔小太郎の半生を描いた時代小説『風魔』
『風魔』を原作とし、キャラクターデザインに村上もとか先生、作画かわのいちろう先生のタッグで描かれた漫画『戦国SAGA風魔風神伝』。

箱根の山で育つ小太郎に始まり、豊臣秀吉の小田原征伐、そして北條氏亡き後の風魔一族と小太郎の生活と戦いが描かれているでござる。

北條亡き後の風魔一族にも、風魔として小太郎と共に生きる者たちと、湛光風車に従い『カマキリ組』として徳川に従うものの2つに別れ、かつての仲間同士で戦うことになってしまうでござる。

さらには、神崎甚内・鳶沢甚内・庄司甚内の三甚内に曾呂利新左衛門などなど魅力的なキャラクターが登場するでござる。

『風魔』は長編時代小説として歴史の節目節目の出来事の裏で動く風魔小太郎の活躍が描かれ、上中下の3巻構成にも関わらず一気に読み進められる爽快感と没入感がある作品でござる。

一方『戦国SAGA風魔風神伝』は1~3巻(小田原征伐)あたりまでは原作を踏襲した作品となっているでござるが、後半部分は一気に漫画的なファンタジー要素が強くなり、超威力を誇る必殺技『うらかん』や服部家に伝わる人体強化アイテム『鉄鬼面』、伊賀の忍術上手である『音羽ノ城戸』と『楯岡道順』の登場に、唐沢玄蕃の『跳び六法』をさらに高めた奥義『朱雀』……原作から入った身としては、急なファンタジー展開にちょっと戸惑ったでござる。

しかし、漫画ならではのビジュアル表現により、よりライトに快男児・風魔小太郎を楽しめるので、こちらをきっかけに原作を読むとより親しみやすくなるのではないかと思うでござる。

風魔小太郎が主となる作品は珍しいので、ぜひご一読いただきたく存じまする。



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